- 日記
- 2020年5月16日
無言日記 第45回
映画監督の三宅唱さんがiPhoneを使って日々撮影している「無言日記」。前回に続き、2019年5月、6月の映像日記を二本立てでお送りします。韓国・全州(チョンジュ)やドイツ・フランクフルト、北海道など旅行が続いた2ヶ月間の記録をたくさんの写真とともにご覧ください。
映像・写真・文=三宅唱
2019年5月の無言日記
2019年6月の無言日記
GWは全州国際映画祭へ。仁川空港から全州までバスで4時間だったか6時間だったか正確には忘 れたがなかなか痺れる道程。羽田から山形に行くような感じだろうか? いざ全州に着くとかなり快適な気候ですぐ気に入る。散歩が楽しい古都。D.O.CINEMAのハン氏(この春『きみの鳥はうたえる』の韓国配給をしてくれた)がマメに連絡をくれ、一緒に食べ歩く。ダミアン・マニヴェルやギヨーム・ブラックら尊敬する知人たちに映画祭で再会することができ、とても嬉しい。ギヨームさんの新作『宝島』がとにかく素晴らしかった。もうお手上げ。他に映画は観ず、インスターレション展示を全部みた。
仁川から関空へ。はじめてシネ・ヌーヴォに行き山崎さんや小田さんに会う。翌日はゼッキーの案内で工事中の京都みなみ会館を見学。東京に戻り松井さんと恵比寿でガレル『救いの接吻』トークに参加。生活のメンテナンスあるいはリハビリ、と思ったが、この単語だと少し芯から逸れる気もする。青山さん演出の舞台にて久々にテイさんに会えて嬉しい。金沢シネモンドでは杉田さんと。
北海道へ。札幌文化芸術交流センターSCARTSでの作品制作のため羊蹄山近くのキャンプ場へとロケハンに行くが結局ここでの撮影は断念し、市内中心部の大通り公園を主な舞台に決める。SCARTSの展示空間が予想以上に曲者で、あまりにもオープンな場所をどう使えばいいのか全然わからない。自分から希望した場所なのだが。窓外の景色にあまりに依存したくもないが、無関係でもいられない。この空間そのものとは少し違う次元を出現させるために、映像とは独立したサウンドインスタレーションも同時展開することに決める。
アンスティチュ横浜で『勤務につけ!』『シェエラザード』上映後トークに参加。下北沢で『柄本家のゴドー』上映後に山崎裕さんとのトークに参加。GAギャラリーで鈴木了二さんの建築模型などを見学、翌日了二さんの事務所でお話。流れでフィッツジェラルドの話など(ずっと後日、すでに廣瀬さんが了二さんとフィッツジェラルドを結んだ文章を書いていたことを思い出す)。イーグルタカのすこぶる幸せな結婚パーティーに参加。途中で失礼して、アビさん、濱口さん、瀬田さんとCS番組用のトーク収録に参加。『多十郎殉愛記』、「こんな男になんでついてくるんだ」「こんな女だからよ」に痺れる。それから『後家安とその妹』へ。
5月末からフランクフルト・アム・マインへ。数年前に一晩だけ滞在した時はとくに惹かれない街だったが、完全に印象が変わった。今回は天候にも恵まれて毎日あちこち散歩し続けた。ゼンケンベルク自然博物館(博物館に行くと必ず『キングス&クイーン』を思い出す)、シュテーデル美術館、マイン川、そしてあちこちにある公園の芝生を満喫。畳よりも芝生の上で死にたいと思ったりする。畳アレルギーだし。
帰国後、Dos Monosのリリースパーティーに行ったり、松本や名古屋に行ったり、東京に滞在していたギヨームさんと一緒に蓮實さん邸に伺ったり。月末には今年3度目の仙台へ。トニー・スコット研究会、計3回の最終回。いつかまとめて書きたいと思っているのだが、まだまだ修行が足りない。