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  • 2025年3月2日

boidラジオ「Voice Of Ghost」第7回リスナープレゼント

boidラジオ「Voice Of Ghost」第7回のゲスト、Soi48からのおみやげの貴重なカセットテープを合計4名様へプレゼントします。ぜひご応募ください!
boidラジオ「Voice Of Ghost」での告知からだいぶ時間が経ってしまいました。boidラジオ「Voice Of Ghost」第7回のゲストSoi48のおふたりからのプレゼントのお知らせです。
彼らの活動(詳細はboidマガジンのSoi48の連載「ADMの破片を探して」やboidラジオ「Voice Of Ghost」第7回後編を参照)のルーツでもあり現在最先端でもある音源を。
カセットテープを聞くことのできる環境にある方がいったいどれくらいいるのかはわからないのですが、このために中古のラジカセを買ってもいいのではないかと思えるくらいの貴重な音源でもあり、歴史の音。
以下、今回プレゼントする4本のカセットテープについてSoi48にそれぞれの解説を書いていただきました。
いかがでしょう?
これまでアジアの音をほぼまったく聴いてこられなかった方にとっても未知の世界への思わぬ扉となるはず。
奮ってご応募ください。
 
なお、応募方法の詳細はboidラジオ7回後編パート2のページにて。
3月31日まで受け付けます。
 

ケーンダーラオ.jpg 123.67 KB

ケーン・ダーラオ
伝説のモーラム歌手ケーン・ダーラオのカセット。彼の生い立ちはSoi48が書いた『Trip To Isan』を読んでもらうとして今回はケーン・ダーラオの危険な思想を紹介したい。元々ラオスにルーツを持つことの多いイサーン人は、出稼ぎのためにバンコクで出稼ぎ労働者として働いた。パタヤやプーケットなど外国人が訪れるタイ南部の観光地、そして海沿いにある工業地帯でも働いている。普通に考えたら経済的理由で、色々な場所に飛ばされて大変だなとなるのだが、ケーン・ダーラオは違った。イサーン人が南に移動して海を手に入れ、首都バンコクも占拠したと捉えたのだ。その思想はさておき、モーラム歌手は出稼ぎ労働者の為に、バンコクはもちろん、南部もツアーした。現在日本には多くのベトナム人労働者が出稼ぎに来ている。日本各地にベトナム人専用のクラブが作られるのは当たり前だし、本国から人気歌手が来日するのは自然な流れである。ADMはその土地で発展したダンスミュージック、つまりリズムをリサーチするプロジェクトである。そんなADMがどのように移動・変遷したかを知る上で出稼ぎ労働者の移動と分布は避けて通れないリサーチ対象である。
V.A./ Disco Chacha
約10年ほど前、初めてインドネシアを旅行した際に入手したカセットテープ。70年代中頃、タイではお金をあまり持っていない労働者階級のイサーン人が有り金を叩いて7インチを買っていた。インドネシアは大量にレコードがプレスされていたものの庶民が音楽を買うようになったのはカセットテープが登場してからだった。つまり庶民向けの音楽やローカルな民俗音楽はカセットテープが多い。そんな背景もあり初めてインドネシアを旅行した時から、Soi48の狙いはカセットテープだった。タイではラテン音楽のチャチャチャがサームチャーとなり自国のリズムとして定着したが、今作はインドネシアのディスコ・チャチャ集。つまりADMのルーツと言える内容だ。ディスコ、チャチャチャとインドネシア人アーティストはどのように向き合ったのか? そこを分析しながら楽しんでもらいたい。
 
ADM#004 mixed by SEESEA & ACS
韓国の歌謡ダンスミュージック「ポンチャック」とY2Kテクノ歌謡を世界に広めるSEESEA。そんな彼女が韓国とベトナムのADMビナ・ハウスをJANCHI(盆踊り)スタイルでミックス。韓国とベトナムの結びつきは強い。ベトナム戦争時、韓国は南ベトナムを支援するため、64年から73年までのべ約32万人を派兵した。そして現在、日系企業がタイでビジネス展開しているのに対して、韓国はベトナムと経済的協力関係を築き上げている。そんな背景を知るとSEESEAが自分のDJプレイにビナ・ハウスを取り入れたのは自然な流れなのかもしれない。SEESEAのプレイを気に入った人はBoiler Room(YouTubeで視聴可能 https://www.youtube.com/live/be-o9WcbxfE?si=3oH3qjMTzvKYc7cn)を観てみて欲しい。内容はもちろん素晴らしいいが、注目はコメント欄だ。そのほとんどがグローバルなダンスミュージックのプラットフォームで「ポンチャック」を流すのはカッコ悪いと言った類の内容だ。しかも外国人よりも韓国人からの方がネガティブな意見が多い。ADMが音楽好きからいかに差別されているかわかる一例である。覚悟を持って自国のダンスミュージックをワールドワイドな現場で堂々とプレイしたSEESEAは本当にかっこいい! 国は違えど彼女は一緒にADM活動したいと感じさせるSoi48の同志である。
 
 
ADM#005.jpg 141.46 KB

ADM#005 mixed by YOUNG-G & MMM
空族『バンコクナイツ』で出会ったYOUNG-GとMMM。まさか仲良くなって一緒に音楽活動するとは思ってもいなかった。映画の撮影後YOUNG-GとMMMはさらに深くタイを知るために、ローカルなディスコやパブに潜入していた。その時にたまたまSoi48が合流し、一緒に現地の音楽体験したのがADMディグ活動のスタートである。今作はYOUNG-Gがレイヴ、冠婚葬祭、野外映画、サウンドクラッシュから選挙までアジア各国で独自の進化を遂げるサウンドシステム音源を紹介。サウンドシステム音源と言っても様々な音楽がある。元々爆音でスピーカーを鳴らしたいという欲望だけで作られた一癖も二癖もある音源達は、サウンドシステム音源=ダンスミュージックとはならないのだ。そんな本来ダンスミュージックの現場でプレイすることが無い音源をYOUNG-Gがセレクト。これは俚謡山脈が民謡のレコードをダンスフロアに持ってきたのと同じで、DJ文化史に刻まれるべき革新的な事である。