映画音楽急性増悪 第38回

現在カタールにて開催中のFIFAワールドカップ カタール2022。虹釜太郎さんによる「映画音楽急性増悪」最新回は参加各国より6人のキャプテンたちを追った『キャプテンズ』(レオ・パールマン、ほか/2022年)を中心に、今回のワールドカップについてです。

第38回 キャプテン

 

文=虹釜太郎


なぜカタールでなのか。カタールでやることの問題。バカが大挙して無意味に大騒ぎしまくるのはいったいなんなんだよという人も多いのかもしれないが。それ以前に90分観れないよ90分て長えよというおそろしい意見も多数あるけれど。選手交代できないのが三人交代できるようになり、五人交代できるようになり、四年に一回のワールドカップが二年に一回になり、出場国も48に拡大し、さらには90分という時間さえ? 
32兆円という異常なほど高額な準備費用だけでなく(過去大会準備費用は、1994アメリカ大会720億円、1998フランス大会3300億円、2002日韓大会一兆円、2006ドイツ大会6200億円、2010南アフリカ大会5200億円、2014ブラジル大会2.2兆円、2018ロシア大会1.7兆円)、その準備期間中の労働者の死亡者数(移民労働者6500人以上が死亡)や帰国不可能状況、時給の異常な低さ、現地での労働者たちの人権問題、そもそもの不正招致疑惑(サンドロ・ロセイの振込問題他)などかつてない問題を多数抱えたカタールワールドカップ。準備期間中の労働環境の劣悪さゆえにカタール大会は見ないという人も。
スーパーリーグ構想やワールドカップ出場国数の超拡大(第67回FIFAバーレーン総会で48カ国出場になる2026年カナダ・メキシコ・アメリカ大会の出場枠はアジア「8」、アフリカ「9」、ヨーロッパ「16」、北中米カリブ海「6」、オセアニア「1」、南米「6」、大陸間プレーオフ枠「2」が決定)、ロシアの欧州連合(UEFA)からアジア連盟(AFC)への転籍の可能性などのサッカー界の混乱の中でのカタール大会は大会後のスタジアムや地下鉄などのあまりの無駄も確実に予想され、かなりの問題を残したブラジル大会以上の事後が。さらには低賃金で過酷な労働環境はカタールだけでなくブラジルでもそうだったけれど。カタールでは総人口60%が移民労働者で彼らの出身国はインド、ネパール、バングラデシュ、フィリピン、アフリカ…  
さらにカタールではLGBTQへの理解の無さも。なぜカタールでやるのかについてメディアは例えばラジオで「カタールで開催中のサッカーワールドカップ。その影で何が起きているのか」  ゲストに堀拔功二(日本エネルギー経済研究所中東研究センター主任研究員)等の番組はあったが、カタールでやる問題について日本ではほとんど放送はされない。ちなみにこのラジオ番組では「特に準備期間中の労働者の死亡者数の正確な人数、劣悪な労働環境だったというけれど実際にはどのようなものだったのか、わかる範囲で教えていただけたら。また大会後に地下鉄はほぼ使われないかもとも聞きましたが、実際にはどうなんでしょう」と質問したけれど直接の回答はなく、レイバーキャンプで一部屋に7、8名、食事が不十分、不法就労などがあるなどの放送が。ワールドカップ後のカタールはスタジアムを解体してアフリカなどに寄付する、今後オリンピックを招致したいとの考えもあるとのこと。
 
ワールドカップの裏側については『FIFAを暴く』(原題『FIFA UNCOVERED』ジョン・バトセック、マイルズ・コールマン/2022年)や『The Workers Cup  W杯の裏側』(アダム・ソベル/2017年)というドキュメンタリーが存在する。そんななかカタールワールドカップ出場に挑むキャプテンたちを出場常態国以外からも含めて六人選んだドキュメンタリーが製作された。それが『キャプテンズ』(Leo Pearlman、Ben Turner、Gabe Turner、Richard Thompson/2022年)。
選ばれたキャプテンは、ガボン代表キャプテンのピエール・エメリク・オーバメヤン、クロアチア代表キャプテンのルカ・モドリッチ、ジャマイカ代表キャプテンのアンドレ・ブレイク、ブラジル代表キャプテンのチアゴ・シウバ、バヌアツ代表キャプテンのブライアン・カルタク、そしてレバノン代表のハッサン・マートゥーク。
ガボン、バヌアツについてはフットボールがかなり好きでも馴染みがない人も多いかもしれない。
本作のエグゼクティブプロデューサーの一人レオ・パールマンは本作について「Fulwell史上初のドキュメンタリーはディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)を追い求める6人の無名フットボールフリースタイラーに関するものだった。15年後チームをFIFAワールドカップへ導こうとする6人のアイコニックな国民的キャプテンに関するドキュメンタリーを制作するというのはまるで夢のようだ。しかしこれはピッチ上の勝ち負け以上の物語であり、リーダーシップ、精神的および身体的プレッシャー、国民の希望が肩にのしかかる中でいかに行動するかについて調査することである。これは最高レベルでのスポーツ、凝視、期待の厳しいレンズを通じて詳細に調べられる人間の状態である」と語ったが、試合の勝ち負けでなく人間の状態たちを描いているというのは、バヌアツのキャプテンを取り上げていることからもあきらか。レバノン代表のハッサン・マートゥーク、バヌアツ代表のブライアン・カルタクたち。
本作の最大の意味はこの人選にある。今日は弱者のサッカーをする、明日も…という常態がどう映されるのか。
 
とはいえ本作にはあきらかに不自然に見える映像たちも潜り混んでいる。モドリッチの子供たちとのサッカー観戦の様子の撮影、ジャマイカ代表パートに何度も映る不自然なセデラ・マーリー、あまりに堂々とし過ぎる登場のピエール・エメリク・オーバメヤンの父ピエール・フランソワ・オーバメヤン、かなり唐突に挿入されるEVメーカー創業者メイト・リマック…
ルカ・モドリッチを巡るパートでは、モドリッチ村での祖父の話、1991-1995 クロアチア紛争の話、自分の家で暮らすことができなくなってからの話、ルカとマルコのホテル暮らしの話、サッカーをしている時だけが逃げ出すことができた子供時代の話が最初に語られるが、こどもたちとのテレビでの試合観戦など不自然な映像も多い。ルカ・スチッチとの交代などを経て予選終盤で今度は優勝を目指すと断言するモドリッチ。その映像の直後からレバノン対韓国、クロアチア対スロバキア、ブラジル対コロンビア戦が交互に映される。ハーフタイム前には、レバノン0-1韓国、クロアチア1-2スロバキア、ブラジル0-0コロンビア戦となっている。そして後半戦。レバノン0-1韓国、ブラジル1-0コロンビア、そしてクロアチア-スロバキア戦の最後の結果を見せないまま第5話終了。クロアチア対スロバキアはモドリッチの最後のキックが決まって2-2で終了。交互に映される予選試合たちにはごく普通に緊迫感を煽る音楽が付されてしまうので、貴重なスタジアムの音たちの詳細が聞けない。ガボンはホームでのアンゴラ戦に勝利。まだワールドカップ出場の可能性があるところから、一ヶ月前のガボン代表チームの内情が映されるパートへ。
いずれもキャプテンへのインタビューとほんのすこしの監督のハーフタイム休憩中の指示が入るだけで、様々にいるはずのチームスタッフへのインタビューがないため膨らみが出ないままに進行していく。しかし本作ではオーバメヤンの表情をしつこくとらえ続けているので、キャプテンたちの中でも細かい表情の変化はオーバメヤンがいちばんとらえられている。クロアチア代表コーチの映像がやっととらえられるが長く続かない。いちいち試合48時間前の映像たちが入る。コーチからモドリッチへの敵メンバーの注意のアドバイス。そしてクロアチアGK交代劇。グルビッチの起用。しかしここからコーチ陣が徐々に映るようになる。バヌアツ代表アシスタントコーチのジョシュ・スミス。そしてバヌアツ代表35名中34名が新型コロナ陽性の告知。ホテルで隔離中のバヌアツ代表たちをもっと映してほしかったが、そんな中バヌアツ代表は代表戦辞退を決める。沈むバヌアツ代表メンバーたちの映像はモニター越しにしか見えない。せっかくのここの箇所も詰め不足のまま次はジャマイカ代表パートへ。ジャマイカ代表についても本作の撮影はキャプテンを映す以外はかなり曖昧なままだ。
ジャマイカの標語は多民族の共生だ、からはじまり直すジャマイカ代表パート。そしてネットでの監督批判パート。監督のウィットモア解任、アシスタントコーチのポール・ホールが後任に。ポールによる再建が描かれはじめる。新監督ポールによるジャマイカ代表キャプテンの評価。セデラ・マーリーがあまりによく映されるが、セデラのジャマイカフットボール界への貢献を説明するパートが無い。
ガボン代表パート。練習を見に来たこどもたちをスタジアムに迎えるシーン。1985年のUDEACカップ(ガボンが優勝した年)の映像はもっと見たかったが、現代サッカーで父子の問題がここまで強く描かれるのも珍しい。2022年ワールドカップでの父子問題はどうか。現アメリカ代表のウェア選手の父は、リベリア大統領の偉大な元選手ウェアだけれど。
試合直前にチーム全体のモチベーションを上げること。それらについてキャプテンと監督ができること。これについてはクロアチア代表パートが。唐突に入るEVメーカー創業者メイト・リマックのインタビュー。優秀なキャプテンは意見交換に時間を費やすんだと語る。本作でのモドリッチ密着映像はオーバメヤン以上にしつこい。
ジャマイカ対メキシコ、ガボン対リビア、クロアチア対ロシア。ジャマイカの敗戦が最初に伝えられる。途中で挟まれる予選試合棄権後のバヌアツ代表の隔離後の様子が映し出される。ガボン対リビア、レバノン対イラク戦が引き続き。
サッカーだけじゃ生活できなくて店を開くレバノン代表選手。ワールドカップ出場失敗後のレバノン選手へのインタビューが街の練習場で。ドイツ生まれのハッサン・マートゥークの人生がいきなり語られる。サッカー引退後は新しいピッチとスクールを作ると。
ここから本作はワールドカップ出場失敗後のキャプテンたちに迫りはじめる。
ワールドカップ出場失敗後のジャマイカ代表キャプテンへのしつこいインタビュー。もっとメンバーが一緒にいる時間が必要だったと語るキャプテンのブレイク。チームの和を乱す選手がいると語りはじめるブレイク。
ガボンのオーバメヤンはまだやれると。ブラジルのチアゴシウバ、クロアチアのモドリッチ…ワールドカップに出るだけじゃない…で本作は終わる。終わると同時に描かれなかったキャプテンたちが次々に思い浮かぶ。それはまたしてもワールドカップ出場を逃したイタリア代表のキャプテン、そして予選試合続行中ながらも参加資格を剥奪されたロシア代表のキャプテン… 元カタール代表のカリッド・サルマーン発言についての疑義を持つドイツ代表キャプテン、中国批判で追放された? メスト・エジルのような選手も気になるが…
プレミア、リーガ、ブンデス、セリエA、南米リーグ、ベルギーリーグ、Jリーグ以外の世界各国のリーグを常に多数観ている人が世界でどれくらいいるかわからないけれど、本作の続編でどの国のキャプテンたちが選ばれるかはこれを書いている時点ではまだ多くの人がわからない。続編でもワールドカップに出場しない国が半分は描かれ、キャプテン総数が変わらず6人ならば、そのうちの半数のキャプテンがカタール大会の次の2026年カナダ・メキシコ・アメリカ大会出場国から選ばれるとして、それは誰なのか。
カタール大会でのキャプテンは以下の通り。 
 
カタール代表 ハサン・ハーリド・アル=ハイドゥース
エクアドル代表 エネル・バレンシア
イングランド代表 ハリー・ケイン
イラン代表 エフサン・ハジサフィ
オランダ代表 フィルジル・ファン・ダイク
セネガル代表 カリドゥ・クリバリ
アメリカ代表 タイラー・アダムス
ウェールズ代表 ガレス・ベイル
アルゼンチン代表 リオネル・メッシ
サウジアラビア代表 サレム・アルドサリ
デンマーク代表 シモン・ケア
チュニジア代表 ユセフ・ムサクニ
ポーランド代表 ロベルト・レヴァンドフスキ
メキシコ代表 ギジェルモ・オチョア、ホセ・アンドレス・グアルダード・エルナンデス
フランス代表 ウーゴ・ロリス
オーストラリア代表 マシュー・ライアン
モロッコ代表 ロマン・サイス
クロアチア代表 ルカ・モドリッチ
日本代表 吉田麻也
ドイツ代表 マヌエル・ノイアー 
スペイン代表 セルヒオ・ブスケッツ
コスタリカ代表 テイラー・ナヴァス
ベルギー代表 エデン・アザール
カナダ代表 アティバ・ハッチンソン
スイス代表 グラニト・ジャカ
カメルーン代表 ジャン=エリック・マキシム・シュポ=モティング
ウルグアイ代表 ディエゴ・ロベルト・ゴディン・レアル
韓国代表 ソン・フンミン
ポルトガル代表 クリスティアーノ・ロナウド
ガーナ代表 アンドレ・アイェウ
ブラジル代表 チアゴ・シウバ
セルビア代表 ドゥシャン・タディッチ
 
 今大会交代枠五人に増加が試合たちを大きく変えた。
 初戦のエクアドル代表キャプテンのエネル・バレンシアはキャプテンらしい雰囲気なだけでなくハットトリック寸前の動きで第1戦対カタールでは2得点。第2戦対オランダ戦でもバレンシアは得点。対オランダ戦では途中ぱっつんぱっつんのおじさんが映されて誰かと思えばスナイデル。エクアドル—セネガルの第三戦は両キャプテン同士がもっともがんばった試合のひとつ。セネガル代表—キャプテンのクリバリのグループステージ突破を決めたシュート。後半38人に相手二人に強引に止められるエクアドル代表キャプテンのバレンシア。
 
カタール大会は初戦で開催国が初の敗退、それよりも問題なのは初戦終了前にカタールサポーターの多くが帰ってしまって客席ががらがらになってしまったこと。初出場の初試合でこれでいきなり初戦から化けの皮が剥がれた。中東で初めて開催のワールドカップ、冬の時期に開催されるのも初ながら、やはり莫大なお金とサッカー熱は関係はなかった。イラン—イングランドの初戦で1-6で負けていた時も後半追加タイム(追加タイム合計プラス24分)で一点を返して(最終結果2-6)強く強く喜ぶイランサポーターを見る限り、そのサッカー熱の差はあきらかな。交代したイランのGKホセイニは第2戦の対ウェールズでは復調。
セネガルとの初戦24分での確実なシュートブロックと前半26分後半7分でのヘディングシュートの強さのオランダ代表キャプテンのファンダイク。
引退後はスポーツ心理学を学びたいというアメリカ代表キャプテンのタイラー・アダムスは素早い足先で相手のチャンスを潰す。後半53分のベイルの猛攻も阻止。アメリカ代表の場合はキャプテン選出は選手間投票による。
カタール、イランの敗戦により中東・アジアの本大会での実力が問題視されるなか2得点を決めてサプライズを起こしたサウジアラビアは前半にキャプテンの交代があった。カタールと違ってサウジアラビアの場合はサポーターの声援がかなり熱かった。36戦無敗のアルゼンチンが本大会初戦に敗れた。
お互い超ベテラン同士のキャプテン対決になったメキシコ対ポーランド。GK対FW。ボールを戻されても堂々とし過ぎているオチョア。後半12分のPKではレバンドフスキとオチョアの直接対決になったがオチョアの勝ち。
フランス代表オーストラリア代表の両キャプテンはどちらもGK。
ワールドカップ出場決定後ハリル・ホジッチが解任されてからのレグラギ監督急遽就任のモロッコ代表は前半エンネシリ、アムラバト、ハキミで猛攻を仕掛けるが、チュニジア代表、サウジアラビア代表と並んでスタジアム内のサポーターの声援が分厚い。モドリッチが攻守ともに激しい。39分のモドリッチのディフェンス、47分のシュート。代表156試合めで37歳でこの動きはメッシとはだいぶ違う。モロッコ代表マズラウィとツィエフはホジッチにより代表追放されていたけれどレグラギ新体制で復帰。
初戦ドイツ戦の日本のGKはダニエル・シュミットでなく権田。後半の堂安による得点後の34分、フュルクルク、ゲッツェという二人のFWを引き出した日本。後半、一対一が11個になった日本。浅野による追加点。ニアハイぶち抜き。ギュンドアンとミュラーの交代が痛かったのか。ホフマンの交代が遅かったのか。遠藤の粘りは次のキャプテンを強く感じさせた。リュディガーはなめプ謎ステップ走りを披露し、試合後インタビューもシンプルにバカバカしいと発言し、そのハイステップは世界中で議論されることになった。ディートマー・ハマン、トム・バーテルスからも批判されているリュディガーはただ楽しんでいただけにも思えるが。今回のドイツ国内では国民の観戦ボイコットも行われた。日本戦前にドイツ代表選手たちは集合写真でFIFAに抗議を行ってもいる。ドイツ代表は反差別レインボー腕章の着用を表明していたが制裁を受けるとFIFA側に警告され断念していた。サッカーには魔物が住んでいることを早くスタジアムを後にしたカタールサポーターたちに。
しかしジャイアントキリングをした日本代表は第2戦のスタメン選択が相手をなめきっていた。そんななか投入が遅かった三苫はそれでもいくつかのチャンスを作ったが。三苫—上田を見たかった。
 国家斉唱顔がいちばん熱かったコスタリカ代表。7-0という得点差以上に内容にも差があり過ぎたコスタリカの敗戦後の話し合いがどのようなものになったのか、それをフィルムにしたなら…
ルカクが怪我で初戦出場できないなか闘将顔でがんばるアザールだけれど前半チャンスはカナダが圧倒的…ながらも結果は0-1でベルギーがリードの前半(デブライネからのロングボールをバチュアイが得点)。カナダはPKをクルトワに止められた。後半もカナダが押しまくるが(シュート数はカナダが三倍)、0-1のままカナダ敗退。39歳のハッチンソンは後半13分にコネと交代。アザールはトロサールと後半16分に交代。カナダもベルギーも監督の顔が熱い。ベルギーのアシスタントコーチには元フランス代表のティエリ・アンリが。ベルギー監督ロベルト・マルティネスはもう在任7年だが国籍はスペイン。カナダ代表監督ジョン・ハードマンの国籍はイングランド。ハードマンの女子代表監督の経歴。FIFAランク二位ベルギー相手にかなり支配的に闘ったカナダ。
国家斉唱がもっとも力強いカメルーンはバス到着時も熱い。スイス代表キャプテンはGKゾマーでなくジャカ。両監督ともにセンターバック出身。ユース年代でフランス代表歴があるがエトーに説得されてフランス代表でなくカメルーン代表を選んだムベウモやシュポムティング、ファイ、トコエカンビが強く攻めるが、シャキリの一発に沈む。
怪我のソン・フンミンが無事に初戦出場。ヌニェスとファン・インボムの激しい闘い。韓国監督はポルトガル出身のパウロ・ベント。4-1-4-1がまったく機能せず解任かとも言われたベントだが本大会まで監督交代はなかった。43分のキャプテンのゴディンのヘディングシュートはかなり惜しかったが、前半は韓国が押していた。バルベルデのシュート速度も凄まじく、後半スアレスに代えてカバーニ投入もスコアレスドロー。
 ガーナ、ポルトガル両キャプテンともにFW。左右にずうっと小刻みに揺れ続けるだけのガーナの応援が忙しない。前半ガーナはシュートはないがガードはしぶとく0-0。しかし後半、両キャプテンが共に活躍する。まずロナウドがPKで得点。しかしその後の後半27分アイェウがクドゥスからのボールで得点。キャプテン同士が得点しあう。しかしこの後に試合は大きく動く。後半32分、34分にたて続けにポルトガルが得点し3-1。後半40分に一気に三選手交代し試合を締めようとしたポルトガルだが、後半43分にガーナのブカリが得点し、追加タイムは9分。特に後半54分のポルトガルは危なかった。
セルビア代表監督はストイコビッチ。試合前のリシャルリソンの憂鬱な顔が気になる。前半両チームにオフサイド無し。前半0-0はセルビアのプラン通りか。後半のはじまりは慌ただしい。後半3分グデリにイエローカード。ネイマールのフリーキックは外れコーナーキックからの得点もならず、しかしブラジルの攻撃はどんどん激しくなってゆく。チアゴの38歳とは思えない動き。マルキーニョスからのボールが増えてくる。後半12分でセルビアは二人交代。グデリとジブコビッチがアウト。ラドニッチ、イリッチがイン。後半14分アレックス・サンドロのシュートがかなり強烈だが外れる。ネイマール、ビニシウス、リシャルリソンの流れで後半16分に得点。ここからセルビアの真価が問われる。すぐにセルビアは選手交代。ラゾビッチ、ブラホビッチがイン。後半25分のセルビアの連続攻撃は怒涛。しかしリシャルリソンが後半28分に体勢を急転してからのゴール。後半34分にはリシャルリソン、ネイマールがアウト。ジェズスとアントニーがイン。後半38分ミトロビッチがアウト、マキシモビッチがイン。後半47分のラドニッチの必死のディフェンスがおもしろい。ブラジルはベンチにダニエウ・アウベス(裏キャプテン)がいる。
最後に今回導入の全体カメラでの視聴方法について。マルチアングル機能選択のうち全体カメラを選択できる。今回のワールドカップ日本での放送については実況音声解説音声をなんとかオフにして観たいなと見始めた全体カメラ(実況音声が入らない)だが、四分割カメラでは実況、解説ともに音声が入ってしまうが、全体カメラではどちらの音声も入らない。また文字情報も一切映らない。文字情報は映らないというのは、交代選手情報だけでなく、得点も、さらには時間さえも映らない。さらにはメインカメラでは消せない「前回準優勝クロアチアが追加点! 2大会連続決勝T進出へ波乱は許さない」とかの文字情報も映らない。「波乱は許さない」を消せないってなんだ。というか第三国が波乱は許さないというコメントを消せない表示で放送するとは。
全体カメラのよいところだけれど、まず距離感がよくわかる、パスのすごさたちがよくわかる、裏抜けが見やすい、パスの起点と終点を一望できる、フォーメーションの変化もわかりやすい、試合に集中できる、等が。逆に悪いところはといえば、文字情報が一切ない、解説も実況もない、リプレイシーンが一切ない、選手の顔の細かい動きがよく見れない、スタジアムの人たちがほぼ映らない、監督の映像が映らない、ベンチの動きがまったくわからない、アップの映像自体がそもそもない…など多数ある。多数あると書いたけれどこれら悪い点はわたしにはまったく問題にならなかったし、まったく悪くはなかった。もっと早くから全体カメラで観ることができていれば。特にパスの起点と終点を終始一望できる点、挿入画像たちのあまりもの頻繁(常にメインカメラでは観ることの持続が妨害されてきた)で観察の中止がない点はあまりにも大きい。全体カメラを観はじめてから思うのはいかに文字情報、音声情報たちに、そしてあまりにも多いアップ映像たちにサッカー観戦がいかにいままで妨害され過ぎてきたか。それらは試合後にいくらでも入ってくるのだし。カメルーン—セルビア戦冒頭のような人もボールもない地面しか映らないことも全体カメラではたまにはあるけれど(試合ごとの全体カメラ操作者の違い)。スタジアムの音声は入るけれど、全体カメラ特有の静けさはずうっと漂い続ける。
 
本作の続編ではどの国のキャプテンが選択されるかはまだわからない。けれどスタンリー・ラウスやジョアン・アヴェランジェというピッチ状ではないキャプテンたちのなしてきたことはいま振り返ることはできる。そのことによりFIFAがいかに腐ってきたか、その起源はどのくらい純粋だったかがある程度はわかるけれども、それらをこれからいかに修正するかについては…
ワールドカップの訂正がどのくらい可能でどこからはそれはしてはまずいのか…
1974年6月11日から変わっていったこと。そして1978年アルゼンチン大会をボイコットしてくださいという運動はあったけれど(1936年ベルリンと1978年アルゼンチン)、2022年カタール大会については…