無言日記 第40回

映画監督の三宅唱さんがiPhoneを使って日々撮影している「無言日記」第40回は、2018年10月に撮影された映像日記をお届けします。前月に続き『きみの鳥はうたえる』の劇場公開にあわせた舞台挨拶やトークイベントでいろいろな地方を訪れた様子が記録されています。

映像・文・写真=三宅唱

10月は計7都市に行き、舞台挨拶やトークイベントなどに計14回参加し、原稿を4本書き、次の映画のための打ち合わせが数件あり、プロットを書いていた。よく頑張りましたの月。しかし映画を全然観ていない。

10月1日。京都から東京に移動。まっすぐ新宿にいき『寝ても覚めても』を再見。渋谷に向かい、NOBODYのイベントに濱口さんらと出席。打ち上げ、結構飲んだはずが全く酔わなかった。

10月4日。KAATで『華氏451』。一体あの話をどうすれば舞台になるのかと思っていたものの、本の暗誦と役者の仕事がダブり、舞台化の意義を感じたりした。夜、吉祥寺シアターで『レディ・オルガの人生』。主演渡辺真起子さんをみているうちにあっという間に終わった。

10月5日。『きみの鳥はうたえる』Tシャツが届いたので、松井さんと一緒に袋詰めを頑張った。公開から5週経ち、季節外れの商品だから売れるか不安だった(結局ほぼ売り切りましたが、まだちょっとあります→https://pigdom.stores.jp)。

10月7日。数年ぶりに水戸へ。旧知の皆さんと再会。出番まで内藤礼展を混雑の中駆け足で見たが、そんな状況ではまるで味わえないような礼拝堂のような空間なのだろうと推測した。コントルポワンで『レディ・バード』のサントラを買った。沖田監督に初めてお会いし、学生時代の短編からずっと観ていることを伝えられた。

10月8日。早朝に水戸を出て羽田へ向かい、山口へ。YCAMのシンポジウムに出席し、『ワイルドツアー』上映と、撮影現場についてくれていた大学生サポートスタッフらと一緒に登壇して振り返りトークを。翌週末まで山口でダラダラすることにする。温泉や海に行った。

10月12日。広島は横川シネマへ。数年ぶりに溝口さんに再会した。嬉しかったのでちょっと照れてしまった。近くの古本屋でエドワード・ヤンのインタビューが載っている号のカイエ・ジャポンを購入。夜、山口に戻る新幹線で読み終わる。

10月13日。YCAMで上映後Q&A。

10月15日。東京に戻り、小学館Maybe!誌の取材を受ける。中高時代の話はこれまで何度かしているのであまり気乗りしていなかったが、前号がウラジオストク特集で、ティーン向け雑誌なのに面白いことするなあと、編集者が気になっていた。お会いしてみるとやはりユニークだった。雑誌作るのってめちゃ面白いんだろうなあ、と思った。

10月16日。新宿武蔵野館で石橋さんとアフタートーク。振り返ると、この日から6日連続トークしたことになる。

10月17日。横浜シネマリンで『ゾンからのメッセージ』上映後、古澤健さんとアフタートーク。ゾンチームと韓国料理屋で打ち上げ。楽しかった。

10月18日。京都へ。同志社寒梅館ホールで『Playback』上映後、廣瀬純さんとアフタートーク。いただいた質問に対し、30秒から1分くらい完全に沈黙して、何も答えられず。それが許される場だと思ったからだが、さすがに反省した。前回の京都でのトーク後もそうだったが、廣瀬さんと話した後は撮影現場の夜のようにベッドに倒れこむ。

10月19日。昼過ぎ、Filmgroundという新しくできたウェブサイトに原稿を送る 。その後、京都出町座で松井さんと2時間の映画話イベント。一年に一度は松井さんとちゃんとこういうことをやりたい。

10月20日。広島県は福山市に移動し、佑と合流して福山シネマモードで舞台挨拶を2回。スクリーンの大きさに驚く。贅沢。

10月21日。京都に戻って、アンテルームの「ワールドツアー」展示を見てもらったり、川沿いでダラダラしたりした後、佑と出町座で上映後Q&A。出町座の近くに引っ越ししたいと思う。

10月23日。ポパイ連載用に『A GHOST STORY』評を送る。近所の遊歩道のコキア。

10月26日。キアロスタミBOX用の『友達のうちはどこ?』についての原稿を送る。夜、下北沢映画祭で石橋さんとアフタートーク。クラシックバレエとコンテンポラリーダンスの違いって要するになに、という素人質問を投げかけてみると、そこから話題も転がってかなり饒舌に喋ってくれたので、とても面白かった。

10月29日。映画上映団体・グッチーズフリースクールが作っている「ムービーマヨネーズ」誌vol.2用に短い原稿を送った。

6月末に咲き始めた朝顔、ようやく最後の開花直前。小学生の頃は一番長い二学期が嫌いだったが、今は秋がずっと続けばいいと思っている。

10月31日。恵比寿映像祭での「ワールドツアー」インスタレーション展示の打ち合わせ。YCAMでは「真っ黒の空間と小さな窓」を作ったが、今回は会場の日仏会館に合わせてまた違うプランができた。インスタレーション展示によって、その建築の批評ができたらいいなという考えがあるのだが、どう見えるだろうか。夜、キネカ大森で上映後Q&A。

三宅唱

映画監督。2010年に初長編映画『やくたたず』を監督。長編第2作 『Playback』 は2012年のロカルノ国際映画祭に正式出品された。2015年にはドキュメンタリー映画 『THE COCKPIT』 、2017年には時代劇『密使と番人』、2018年には 『きみの鳥はうたえる』 が公開。雑誌『POPEYE』にて映画評「IN THE PLACE TO C」を連載中。YCAM製作の監督最新作『ワイルドツアー』が3月30日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー。同作は2月20日(水)&24 日(日)に 第11回恵比寿映像祭 でも上映(24日は『無言日記2018』も併映)。さらに恵比寿映像祭では開催期間中(2月8日~24日)にインスタレーション「ワールドツアー」も展示される。